ポーカーのオールインとは?負けないための戦略・計算方法を解説
ポーカーのアクションの中で、最も覚悟のいる選択といえば「オールイン」でしょう。オールインとは、文字通り自分が持っているチップを全てベットすることを指します。チップが不足している時には有用な手段ですが、負けると全てのチップを失ってしまうハイリスクなアクションです。
初心者の方はオールインを怖がる傾向にありますが、どうしてもオールインしなければいけない状況というのはあります。
そこで、この記事ではポーカーのアクションの一つ「オールイン」について、メリットとデメリット・やるべきタイミングなどを解説しています。この記事を読めば、適切なタイミングで怖がらずにオールインを打てます。
この記事のまとめ
- オールインとは持っている全てのチップをベットするハイリスクハイリターンなアクション
- 相手の行動パターンを見極め、資金管理をした上で冷静に判断することが重要
- チップ量が異なる複数のオールインが発生したときはメインポットとサイドポットに分けて計算する
この記事はおよそ 8分 で読むことができます。時間がない方は目次を活用しましょう
オールインとは
ポーカーにおいて「オールイン」とは、持っているチップ全てをベットするアクションのことを指します。
オールインを宣言し、自分が持っているチップを全てテーブルに置くことで成立します。また、プリフロップ・フロップ・ターン・リバーのどのタイミングでも宣言が可能です。
オールインを宣言した時点で、コール・フォールドなど他のアクションは一切行うことができません。
そして、オールインをした時点で誰か1人でもフォールドをしなかったプレイヤーがいた場合は必ずショーダウンまで勝負が続きます。この時オールインしたプレイヤーはマックができず、強制的に自分の手札を見せる必要があります。
なお、1人だけが応戦した場合はベッティングラウンドは省略され、2人以上が応戦した場合はオールインをしていないプレイヤーだけで通常通りベッティングラウンドが行われます。
チップが足りなくてもオールインはできる
ポーカーでは、他のプレイヤーがベットしたチップ以上を賭ける(コール・レイズ)ことによってゲームに参加できます。
しかし、ゲーム開始時に持っているチップより高額を賭けることはできないというルールがあるので、チップが少ないとゲームに参加できなくなってしまいます。このルールを唯一破れるアクションがオールインです。
オールインは、コールで必要なチップが足りなくても宣言することができます。
ただし、勝利した場合もらえるポットが少なくなる場合があります。詳しくは「オールインが起きた時のチップ配分の計算方法」をご覧ください。
オールインのメリットとデメリット
メリット①:一発逆転が可能
オールインでの勝負が成立した時点でポットは相当大きくなっているはずです。強い役を作れた場合は一発逆転の可能性も十分あります。
メリット②:ブラフで相手を揺さぶれる
手札が弱かったとしても、ブラフでオールインを打てばフォールドされる可能性は高くなるので、ノーリスクでアンティをスティールすることができます。
メリット③:強い手札を持っている場合は心理的に有利になる
手持ちのチップが少ない時でも強い手札が来た場合、積極的にオールインを打つことによって「フォールドでもスティールできる、コールされたらよりチップが増える」という状況を作れます。
デメリット①:リスクがかなり高い
勝負が成立した時点で、「負けたら終わり」という状況になります。最もリスクの高いアクションであることを理解しておきましょう。
デメリット②:プレッシャーで冷静な判断ができなくなる
チップが少なくなると冷静な判断ができなくなりがちです。オールインすべき場面かどうかはその都度確認しましょう。
デメリット③:相手にハンドを予測されてしまう可能性がある
オールインは相当強いハンドであることをアピールするアクションです。フォールドが続くと思うようにチップが増えません。
オールインすべきタイミング
オールインは、むやみに行うとリスクが高いアクションですが、必ずどこかではオールインが求められるタイミングが訪れます。
そこで、次の項目ではオールインを積極的に行うべきタイミングについて解説します。いまいちオールインするタイミングが掴めない…という方は是非ご確認ください。
手札が強く自信があるが、手持ちのチップが少ないとき
チップが少なくそろそろ底を尽きてしまう…という状況で強い手札が来た場合、本当はレイズやコールなどでバリューベットを打ちたい場面です。
しかしチップが足りないという時は、積極的にオールインを考えましょう。手札が強ければコールされてもある程度有利に勝負することができます。
ただし、オールインは自分の手札が強いことを主張しているアクションなので、相手が降りる可能性もかなり高いです。自分の持っているチップがまだそれなりにある時は、通常通りコール・レイズなどを考えると良いでしょう。
手札が弱く相手を降ろしたいとき
チップが少ないと、いつでもフォールドできるわけではありません。SB/BBが来るたびにそこそこのチップを持っていかれるので、強い役の時だけ勝負する、というのは難しいです。そのため、手札が弱い時もオールインを積極的に打つと良いでしょう。
オールインはかなり攻撃的なアクションのため、相手は相当強いハンドでないとコール・レイズはしてきません。そのため相手をフォールドに誘導し、弱い手札でもブラインドをスティールすることができます。
ただし、相当強いハンドであればコールされるので、リスクの大きい手段と言えるでしょう。
オールインを使う前に考えておくべきこと
オールインは負けたら終わりのアクションなので、戦略の中でも最終手段と言えます。そのため、他のアクションと比べても考えることは多いです。オールインを打つ前に抑えておきたいポイントについて解説します。
ポーカーの基本戦略を理解する
まず、ポーカーではどのようにアクションを使い分けるのか、という基本戦略を理解しておく必要があります。
この場面はレイズ、この場面はフォールドというように基本的な戦術を習得して、その中でオールインがどのように戦略に組み込まれているのか、を頭に入れると良いでしょう。
ただし、(中級者以上の方に限りますが)その通りにだけ動いていると相手に手札を予測されやすいので、時には最適戦略から少し外れるのもおすすめです。
相手の行動を注意深く観察する
オールインをするタイミングはシビアに決める必要があります。例えば相手がオープンレイズをしている時にブラフのオールインは無謀ではないか、プリフロップからオールインを宣言する必要があるのか、など冷静になってオールインすべきかを考えると良いでしょう。
相手の行動パターンや自分のポジションなども加味して、適切なタイミングでオールインを打つことにより長期的に利益を増やすことができます。
バンクロール管理が重要
ポーカーはテーブルに置かれたチップ以上に賭けることはできません。そのため、自分がどれくらいの資金を持っているか、バンクロールを管理することが一番重要です。
何度も言いますがオールインは最終手段のアクションです。オールインが自分の持っているチップの量に見合ったアクションなのか、バリューベットで勝負すべきではないか、などを吟味した上で本当にオールインを打つかどうかを決めましょう。
オールインが起きた時のチップ配分の計算方法
オールインは、「1人がオールインして他のプレイヤーがコールした」という場合は賭けたチップ量が同じなので勝った人が総取りになりますが、複数人がオールインした場合はチップ量が異なる場合があります。
その場合、プレイヤーの賭け金によってはポットを全額獲得できるわけではない場合があります。
続いての項目で、複数人がオールインした場合のチップの計算方法について解説します。
1対1でオールインの勝負になったとき
持っているチップに差がある状態でヘッズアップのオールイン勝負になった場合、チップが大きい方が勝利した場合はそのままポットを獲得できますが、チップが小さい方が勝利した場合は賭け金の差額は負けた側に返還されます。
例えば、Aさんが500ドルをオールイン→Bさんが300ドルのオールインで応戦 という場合、Aさんが勝ったらAさんはそのまま300ドルを獲得できます。Bさんが勝った場合、300ドルだけ獲得することができ、Aさんは差額の200ドルが返還されることになります。
複数人でオールインの勝負になったとき
複数人でオールインの勝負になった時は、原則として「(参加者の賭け金のうち最低額)×(参加人数)」がメインポットに、残りの金額がサイドポットに入れられて、サイドポットは参加者のベット額に応じて振り分けられます。
そのため、メインポットは1位のプレイヤーが総取りするものの、サイドポットは2位以下のプレイヤーが獲得することもあります。
文章だけではわかりにくいので、3人のプレイヤーがオールインした場合を考えます。
ベット額 | |
---|---|
A | $300 |
B | $100 |
C | $200 |
Aさんが300ドルをオールイン、応戦する形でBさんが100ドル・Cさんが200ドルをオールインした場合を考えてみましょう。
メインポット | サイドポット | |
---|---|---|
A | $100 | $200 |
B | $100 | – |
C | $100 | $100 |
このうち最もベット額が低いのはBさんなので、メインポットはBさんのベット額に合わせた1人100ドル、合計300ドルとなります。
そのため、サイドポットはAさんが200ドル、Cさんが100ドルとなります。
Aさんが勝った場合
Aさんは最高額の300ドルを賭けているので、メインポットと全てのサイドポットを獲得できます。そのため600ドルのプラスとなり、Bさん・Cさんは1ドルも獲得できません。
Bさんが勝った場合
Bさんはメインポットの300ドルを獲得できます。しかし、Bさんは最低額をベットしているので、サイドポットの300ドルについては獲得できません。
この場合、
- Aさんが2位… 残りのサイドポット300ドルをAさんが総取りし、Cさんには1ドルも支払われません。
- Cさんが2位…自分のサイドポット100ドルと、Aさんのサイドポットのうち100ドルを獲得し、合計200ドルがもらえます。残りの100ドルはAさんに返還されます。
Cさんが勝った場合
Cさんはメインポットの300ドルに加え、自分のサイドポット100ドルと、Aさんのサイドポットのうち100ドルを獲得し、合計500ドルがもらえます。
残り100ドルについては、Bさんはサイドポットに1ドルも賭けていないため、順位に関係なくAさんに100ドルが返還されます。
相手にオールインされたときの行動パターン
もし、相手がオールインしてきた場合はどのようなアクションが正解なのでしょうか?
オールインの時点で大きなポットになるのは当然なので、強いハンドであれば積極的に参加するべきと言えるでしょう。特にAA、KK、AKsなどのプレミアムハンドであれば、何人オールインを宣言したとしても参戦したい場面です。
しかし、やはりブラフでオールインというのはプレイヤー側もできればしたくないものです。そのため、原則としてはオールインした相手のハンドはかなり強いと見ておいて損はありません。弱いハンドであれば素直にフォールドすることをおすすめします。
勝負を2回に分けて行う(トゥワイス)
オールインの勝負の際、ポットを2分割して、カードを2回分開くことで勝負を2回行うことができます。これを「トゥワイス(Run it Twice)」と言います。
例を挙げると、例えばヘッズアップでターンまでベッティングラウンドが終了したとしましょう。
ここでトゥワイスを宣言した場合、リバーに当たるカードを2枚引き、1枚ごとに別々のゲームとして勝負する、ということになります。2勝0敗なら勝った方にポット全部が渡され、1勝1敗ならポットの半分ずつが渡されます。
これは両者がOKすれば成立する取り決めとなっています。分散を抑え、より期待値通りに勝負できるオプションと言えるでしょう。
まとめ
ポーカーにおいて、自分の持っているチップ全てをベットする「オールイン」は、最もアクティブなアクションと言えるでしょう。
「勝ったら相当のチップを獲得できるが、負けると全てを失う」オールインはまさにハイリスクハイリターン! そのため、無闇にオールインするのは避けたほうが良いですが、怖がって全くオールインしないというのも損になります。
まずはオールインがゲーム戦略でどのように組み込まれているかを頭に入れて、適切なタイミングでオールインを使ってみましょう。チップが少なくてもオールインを活用すれば一発逆転も夢ではありません!
Bell
(ウィナーズクラブ管理人)
オールインは非常に勇気のいるアクションですが、成功すれば一発逆転も狙える夢のあるアクションでもあります。
相手の行動パターンを見極め上手に資金管理をしながらオールインする適切なタイミングを伺いましょう。