ニホン(日本)カジノ構想/カジノ合法化
地方発起のカジノ構想
日本国内における「カジノ構想」「カジノ合法化」の議論は古くからあるが、近年、盛んになったのは、2002年、東京都石原都知事がお台場カジノ構想を発表し、都庁内でカジノのデモンストレーションを行ったのに端を発していると思われる。
同時期、石川県や秋田県もカジノ合法化を推進しており、その後も沖縄県・大阪府もカジノ誘致に積極的な立場を見せている。
日本のカジノ構想は、いわゆる地方主導の形で始まっている。地方がカジノ合法化・誘致に積極的になる理由には、地方主体による財源確保、雇用の活性化、人口流失の食い止め、などが挙げられる。
石原都知事がお台場カジノ構想を発表して以降、日本全国でカジノ熱が盛り上がり、多くの都道府県がカジノ誘致構想を発表した。
国会でもカジノ構想始まる
その後、カジノ合法化は国会にも飛び火し、自民党の野田聖子議員を座長とする超党派(主に自民党と民主党で成る)「カジノ議連」が組織された。
カジノ構想、一時ストップ
しかし、2003年に石原都知事が国会による法改正の見通しが立たないことを理由に「お台場カジノ構想」の断念を発表。
その後2005年に野田聖子議員が郵政民営化法案で郵政造反組とされたことで、国会でのカジノ構想も中断。
日本のカジノ構想は一時ストップすることとなる。
2008年から再活性化
2005年の「郵政政局」をはさんで休眠状態に陥っていたカジノ構想だが、2008年に再活性化の動きを見せる。
- 自民党は「カジノ・エンターテイメント検討小委員会」(岩屋毅小委員長)
- 民主党は「娯楽産業健全育成研究会」(古賀一成会長、牧義夫事務局長)
上記、二つの団体を中心に自民党、民主党の両党は超党派でカジノ合法化を目指している。
共産、社民両党が反対または慎重姿勢。公明党は積極姿勢ではないが「今後、党内で勉強を始める」としており、ゆくゆくは連立与党の自民党に追従するのではないかと思われる。
■自民党のカジノ法案基本方針の骨子■
- 施行主体は地方公共団体かその一部事務組合
- 当面は2~3カ所に限定。最大10カ所程度に段階的に拡大
- 主務大臣の下に独立行政法人「カジノ管理機構」を設立。合議制の機関「カジノ管理委員会」を設置
- 施行収益は地方公共団体に帰属。国の機関は施行者から施行収益の一定率を交付金として徴収
- カジノ運営やゲームへの参加に犯罪歴などの欠格要件を設ける。
- クレジットやATMの設置、金銭貸し付けの禁止
- 組織犯罪の介入、風俗環境悪化、依存症の対策のため「地域環境管理委員会」を設置
自民、民主両党は今後、協議を重ね、来年2009年の通常国会にも議員立法で提出、成立を図りたいとしている。
2010年 超党派「国際観光産業振興議員連盟(カジノ議連)」発足
日本でのカジノ合法化などを目指す超党派の「国際観光産業振興議員連盟(カジノ議連)」が民主、自民、公明、社民、国民新、みんなの各党にて発足。議連は民主党のカジノ合法化法案原案をもとに検討、早ければ秋の臨時国会に議員立法で提出、成立を目指す。
設立総会では会長に民主党の古賀一成、会長代行に自民党の岩屋毅、幹事長に牧義夫の各衆院議員を選出。
民主党の原案は、カジノ合法化について「国民の不安を払拭する仕組みを前提とし、厳格な規制や監視のもとで施行、健全なエンターテインメント娯楽とする」として、カジノを中心にホテルやショッピングセンター、見本市会場、エンターテインメント施設などを含めた総合的リゾート施設を建設する内容。
仕組みはカジノエンターテインメント(特定複合観光施設)の施行主体は地方公共団体とし、その申請を受けて国の主務大臣(国土交通相など)が指定。指定された地方公共団体は、カジノ施設を運営する民間事業者を公募、選定する。民間事業者は国の機関として設立されるカジノ管理機構に申請し、監査を受けたうえで認証され、査察官の派遣も受ける。同機構は国、都道府県の公安委員会や警察と協力し、違法行為の摘発、監視にあたる。
パチンコの問題
カジノの合法化議論に伴い、パチンコの取り扱いが問題になっている。パチンコは風営法の下で「遊技場」という扱いだが、実態は景品交換の形で勝った分の現金化が可能なため、事実上の賭博としてグレーゾーンにある。カジノが合法化されれば「パチンコも賭博ではないのか」という議論が起きることから、自民、民主両党は新たに「パチンコ法」を制定して国や地方公共団体に関与させることも視野に入れている。
オンラインカジノはまだ蚊帳の外
日本でランドカジノが合法化すれば、現在グレーゾーンとして明確な法規制のない自宅で個人が行うオンラインカジノにも、何らかの影響があると思われる。しかし、現在のところオンラインカジノに言及する発言はない。
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