佐藤純の賭博回遊業 インカジ経営も楽じゃない
3月某日、前回勝利した金を種銭として池袋の店に勝負しにいったのだが、店前の扉が何故か開かない。1分待ち、我慢できなくなり、普段使わないインターホンを鳴らして扉の開放を促す。急いでボーイが扉を開けに来たが、店内では一騒ぎが有った後で荒れていた。とてもでは無いが勝負できる環境では無かった。
状況としては、グラスと灰皿の破片が入り口周辺通路に散乱している。さらに数台のパソコンテーブルの周辺にもガラスの破片とドリンクが散乱しているではないか。ネタに丁度良いなと下心が出て、状況をボーイにたずねる事にした。
「どうしたの?結構散かってるね。」
「すんません!」
なんだか、とても怯えているではないか!相当な事が有ったとは状況からして察しているが、取材続行する。
「謝らんで構わないから、状況教えてくれないか?」と、さらに追求していると、奥から主任(以下店員Bとしておく)が飛んできた。
「佐藤さん、取り合えずこちらではなんですから、外行きましょう」
「なにも外行くことないでしょう!」
「いやいや、ステーキでもおごりますから、兎に角行きましょう!」
促さす店員Bに連れられて、近場の肉屋に案内された。今までこの様な事は無かったので、よほど店に居ては宜しくない状況だったということが察せる。
一先ず店の話は辞めて、料理を注文。人払いした後に改めて状況を聞いてみた。
「如何しちゃったの?こんな所連れてきて。」
「イヤー参りましたよ~。実は、3人連れのご新規のお客様だったのですが、初回の10万円の入金で調子よく勝たれていたのですが、別サイトのカジノでのプレイで具合が悪くなられまして…。最終的には80万円ほどストレートでお負けになられたんです。」
なるほど、そういうことか。この段階である程度事情は察したが、何も言わないまま店員に話を続けるように促す。
「博打を理解されているお客様でしたら、諦めてお帰りに成られるのですが、こちらの3人組の方は暴言を吐き、グラスを割りって暴れたれたのです。我々としては、諦めて頂くしか方法が無いのですが、それにも対応に限界が有りまして..。最終的に私の判断で、ある方に相談させて頂き、処理班を急遽送って頂き対応をして貰っていた次第です。処理をして貰っている真っ只中でしたので、見苦しい所をお見せするのは恥ずかしく、こちらにお誘いさせて頂きました。」
よくある話だ。新規で、しかも3人連れともなると気が大きくなったのだろうな。話が終わり、料理がタイミングよく運ばれてきたので食事を始めたタイミングで店員Bの電話が鳴った。どうやら店内の清掃が完了したらしい。
「いつでも入店可能ですから、佐藤さんのタイミングでのご来店をお待ちしております!」
そう告げると、営業用スマイルと諭吉2枚をテーブルに置き、彼は急いで店に戻っていった。
店員を見送った後にゆっくり肉を味わい、コーヒーを飲んだところですっかりやる気がなくなってしまった。一応電話を入れ、今日は辞めておくことを告げて店を後にした。
この物語はフィクションです。あくまでも「読み物」としてお楽しみいただくためのものであり、インカジ(カジノカフェ)を奨励するものではありません。ネットカフェでのインカジ利用では摘発者が頻発しています。