マーチンゲール法は必勝法?
前項ではどうやら「いらぬこと」を言ってしまったようです…。 わたしは本当にオンラインカジノを広めようと思っているのでしょうか?
みなさん、この項を読んでくれています?
では、いよいよペイアウトを覆すための攻略法の話をしましょう。 ・・・と、思いましたが、この攻略法というものも困ったことに正確な情報がほとんど伝えられていないのが現状です。
世には魑魅魍魎が風潮するインチキ、イカサマ、オカルトといった間違った情報が溢れています。
なにをもって攻略法や必勝法の定義とするかは定かではありませんが、少なくとも通常の状態よりは勝ちやすくなる(負けにくくなる)というのが最低の条件であるとわたしは思います。
以下に代表的なインチキ、イカサマ、オカルトの例を挙げます。まずはこれらの嘘に惑わされないように、その間違いを指摘していきましょう。
マーチンゲール法は必勝法?
もういい加減、この手の宣伝文句に引っかかる人はいないだろうと思っていましたが、実はまだ結構いらっしゃるみたいです。
マーチンゲール法とは例えばルーレットの赤黒のような配当が2倍の箇所に対してベットして、負けたら次はその倍の金額を賭けるという方法です。
参考 マーチンゲール法
例えば、スタートベットを1ドルとして連敗した場合には
1ドル 2ドル 4ドル 8ドル 16ドル 32ドル 64ドル 128ドル 256ドル・・・
という感じでベットしてゆく方法です。どこかで一回勝てば途中どんなに負け続けていても最後には1ドル勝てるという仕組みです。
この方法は一見使えそうな攻略法に思えます。しかし、マーチンゲール法はいくつかの前提があってはじめて成り立つ方法で、しかも攻略法ではありません。
以下にマーチンゲールを否定するいくつかの根拠を挙げてみましょう。
その第一点は
「あなたが思っている以上にハズレは連続する」ということです。
実証してみましょう。
ルーレットの赤か黒が出る確率はヨーロピアンルーレットで48.65%です。(50%ではありませんよ! 前項を読んでいる人にはわかるはずです。) よって、一回の勝負で負ける確率は100%-48.65%=51.35%となります。
この条件で連敗する確率を表にすると以下のようになります。
※下の表は横スクロールしてご覧いただけます。
マーチンゲール 連敗確率 | 1連敗 | 2連敗 | 3連敗 | 4連敗 | 5連敗 | 6連敗 | 7連敗 | 8連敗 | 9連敗 | 10連敗 |
ベット額 | $1 | $2 | $4 | $8 | $16 | $32 | $64 | $128 | $256 | $512 |
必要クレジット | $1 | $3 | $7 | $15 | $31 | $63 | $127 | $255 | $511 | $1,023 |
確率 | 51.35% | 26.37% | 13.54% | 6.95% | 3.57% | 1.83% | 0.94% | 0.48% | 0.25% | 0.13% |
10連敗する確率は 0.13% つまり、769分の1 ということになります。
この769回に一回という確率を見て「イェーイ! マーチンゲール様 バンザーイ!」と思ったあなた・・・ ちょっと勘違いをしていませんか?
この場合の 769分の1 という確率がどの程度のものかちょっと考えてみてください。一日にルーレットを100回回したとして、8日間に一回はその危機がやってくる確率です。実際にオンラインカジノを遊んでみればすぐに体現できることなのですが、一日100回くらいルーレットを回すことなんて簡単です。数時間もかかりません。
この場合の 769分の1 程度の確率は「日常的に起こりえること」なのです。パチンコのMAX機の「確変」を引く確率よりも低い確率ですよ。こんなの運がよければ(!?)すぐに引いてしまいそうです。
う~ん、上はちょっと例えが良くなかったですかね? 実際にカジノをやっていない人には体感しづらい話だったかもしれません。では、これではどうでしょうか?
マーチンゲール否定の第二点
「無限の資金があるわけじゃない」です。
表中の10連敗の箇所を見てください。9連敗して10回目の勝負に要するベット額は $512 にも上ります。しかもこれは10回目の勝負のみに要するベット額であって、それまで9連敗してもそれだけのベットを行えるためには $1,023 ものクレジットを蓄えておく財力が必要になります。
あなたは一箇所のカジノの購入に $1,000 以上もの大金を用意できますか?
それに、カジノでは「ベットリミット」というものがあって、ルーレットの赤黒に $500 を賭けられないカジノだって多く存在します。これはオンラインカジノだって同じです。最高のベットリミット(Max Bet)が数百ドルのカジノがほとんどです。そうなってくると、「許される連敗」は10回よりもっと低くなる可能性もあります。
マーチンゲール否定の第三点
「そもそも勝っても1ドル、負ければ全滅・・ バカバカしい」です。
まあ、これは確率論ではなく精神論なのですが、上記の方法の場合に9連敗して10回目の勝負に入ったとしましょう。10回目のベット額は $512 です。それまで徐々に上がり続けるベット額を見て、あなたは息も絶え絶え、手は振るえ、冷や汗をかくことでしょう。心の中はきっと後悔の念でいっぱいです。
そしてあなたは10回目の勝負に・・ 勝ちました! よかったですね。本当に危ない目に逢いました。ホッと安堵の表情を浮かべるあなた・・・
でも、得られる利益はたった$1です…
わたしならこの瞬間、敗北感に等しい感覚を覚えることでしょう。
あなたがMなら、そういったカジノの楽しみ方(!?)もあるのかもしれませんが、わたしはまっぴらごめんです。
以上の理由からマーチンゲール法は攻略法ではありません。攻略法というものはもっと完全なシステムであるはずです。
ちなみに、マーチンゲール法という名前の由来は、昔、変わり者が多いとして有名だった南フランスのマーティギューという地方があって、このマーティギューの出身者が好んでこの倍々ベットを使用しては往々にしてギャンブルに負けていたことから、それを嘲笑して「マーチィギューシステム」→「マーチンゲール法」となったらしいです。
名前の由来の時点で、このシステムは攻略法として否定されていたわけです・・・
マネーシステムは攻略法?
前記のマーチンゲール法もそうですが、その他にも「モンテカルロ法」や「ココモ法」「ウィナーズ投資法」などといった方法が攻略法として流布されている場合が見受けられます。これらの方法はすべて一定の法則にしたがって賭け金(ベット額)を上げ下げする方法です。これらはすべてマネーシステム(システムベット)といって、チップの賭け方(投資方法)の一例に過ぎません。
どのようなマネーシステムを使用したとしてもペイアウトを変動させることはできません。
ルーレットの赤黒賭けのペイアウトは$1ベットでも 97.3% 、これを$100ベットにしたとしても、この数値が上がったり下がったりするわけではありません。常に 97.3% なのです。当たり前ですよね。ベット額によってホイールの配列や赤黒のポイント数が変化するわけではないのですから。
たしかに、ベットの上げ下げで期待値を収束しにくくすることはできます。しかし、それは裏返せば予想以上の効果をもたらす人もいれば、それと同等の予想以上に負ける人もいるというだけのことです。統計上の期待値は変わりません。
マネーシステムでペイアウトを変化させることはできないのです。
しかし、マネーシステムがすべて悪だというわけではありません。前記の通り、マネーシステムはチップの投資方法の一例であり、それ自体はペイアウトを左右しません。ですから、マネーシステムを使ったからといってペイアウトが下がることもないのです。
マネーシステムは現在の手持ちチップ(残高)をどの程度に持っていくか(増やすか)という目標の上で、「リスクを踏まえた上での計画的なベット」という点では優れています。
※ここで誹謗した「マネーシステムを攻略法として流布している~」とは、マネーシステムそのものや、マネーシステムに独自で若干の手を加えただけのものを攻略法や必勝法としてプレイヤーに強く勧めたり、マネーシステムの弱点を紹介せず、いかにもマネーシステムだけでペイアウトを覆せるかのような表現をしている場合のことです。マネーシステムの持つ危険性を正しく表現した上で、あくまでもくくり(カテゴリ)の表記を攻略法としている場合ではありませんのでご了解ください。